浸透圧

好きなものを好きと大いに言い、自分内の流行り廃りや自分自身を整理整頓したりもする、日々の徒然。

宝塚100周年の幕が開きました

看板は我らが星組

 いよいよ宝塚歌劇団の100周年に当たる記念の年が始まり、お正月公演一発目を担ったのは我らが星組の「眠らない男・ナポレオン-愛と栄光の涯(はて)に-」です。しれっと「我らが」とか言ってますが、私の宝塚ファン歴は昨年の9月位からですので、ブームもブーム、昨日今日のにわかにも程があります。ただ、例によって何かにハマった時の異様なまでの集中力を発揮して、贔屓の星組のことにだけは結構詳しくなったような気はちょっとだけしています。

 花組はついこの間次期トップ男役が明日海りおになるという発表がありましたが、月組トップの龍真咲、雪組トップの壮一帆、宙組トップの凰稀かなめ、みんな比較的就任が最近な中、花組の蘭寿とむと星組の柚希礼音が任期の長いトップさんだったので、二人は100周年が終わるまで安泰かなと思っていたら蘭とむの退団発表、流石に昨日今日のにわかなので、劇団人事の方針までは中々まだわかりませんね。

 上級生で任期の長かった蘭寿とむが5月の公演で退団ということは、100周年の看板は事前のアド打ちからなにからを、柚希星組が一身に背負うということで、実際事前のアドの打ち方は「看板は星組で行くんだな」というのがにわかにですら分かる位はっきりしてました。

 そして、100周年の大きな記念の年にお披露目を当ててくる辺り、劇団は明日海りおに相当期待を寄せて次代のホープと目しているんだなというのもまた分かります。100周年を前にして、星組の涼紫央、宙組の悠未ひろ辺りの、幹部候補、もしくは専科行きが明確という訳でもなさそうな、番手が微妙なベテランが揃って退団している辺り、本人達の希望もさることながら、劇団の意図も何となく感じないではありません。そうなってくると、ちえ(柚希礼音)もこの100周年の重たい看板をなんとかこなした所で、そろそろって言われるのかなぁなんて、まるで杞憂かもしれない心配までするようになってしまいました。ハマるとウザイというのは本当にこういう所です。

 

きっかけは「百合界のカリスマ」タグ

 今これだけハマっていて言うのもなんなんですが、去年の9月までの私は「宝塚」を割と忌避している方だったと思います。ジャニーズとヅカはファンが妙に妄信的でおっかないし、なによりわざとらしいにも程がある過剰装飾は笑うしかない、みたいな風に思っていました。それが今や「さゆみは次期トップにはまだ早いか?いやでもこれ以上待たせるのも…しかしみっさまをトップにするとなると星組しか…」なんていう心配をしている位ですから、人生何が起こるか分かりませんね。

 私が宝塚を「これはちょっとちゃんと見ないといけないかも」と思ったのは、安蘭けいの歌を聴いたからでした。この人の歌は私凄く好きだ!ともう全身で反応して、そこからもの凄い勢いで安蘭けいの情報と関連物品を集め始めました。

歌というのは、口幅ったいようですが私の血肉に等しい物で、だからこそ歌については常に真摯に頭を垂れ、偏見や食わず嫌いは自分の損、と思っているので(できているかは兎も角)、安蘭けいの歌が聴けるなら宝塚のお芝居だって何だってみる!といってDVDも買いあさりCDもコンプリートし……で、今に至ります。

 ではそもそもどうしてその安蘭けいの歌を聴くことになったかといえば、きっかけはニコニコ動画の「百合界のカリスマ」タグ。何の事はない、私はその時ニコ動でセーラームーンのはるかとみちるの動画を見ていたのでした。

で、はるみち動画に前述のタグがついていて、何気なくそれををクリックしたところ、検索結果の中にちえねねの動画があったのでした。ちえねね=柚希礼音と夢咲ねねの星組トップコンビです。同人界隈なんかでは割とよくあることで、そしてどうやら宝塚にもそうした風習があるようですが、カップリングやコンビと目される二人の名前を略してくっつけて呼ぶんですね。はるかとみちるならはるみち、のように。宝塚だと更にややこしい事に、芸名の他にファンに周知されている愛称というのがあって、比較的愛称の方でジェンヌさんを呼ばれる方が多い為、情報を集め始めた当初はどの呼び名が誰の事なのか分からずに大分色々回り道をしたものです。今や私もすっかり愛称呼びの方に慣れてしまって、「とうこさん」ではなく「安蘭けい」と書くのに一々戸惑っている位ですけれど。ホント、慣れれば慣れるものですね。

 カリスマタグでちえねねに引っかかり、「宝塚かぁ…これを百合と言って果たしていいもんなのか?」なんて思いながら幾つか柚希礼音の動画を見るうちに、柚希礼音の前のトップが安蘭けいなので、彼女の歌を聴く事になった、という訳です。いやはや、どこにどんなきっかけが転がっているかなんて、本当にわからないものです。

 

個人ではなく集団のファンになるということ

 安蘭けいの出ているお芝居やショーを沢山観るうちに、宝塚の心地よさというか気楽さというのに気付きました。私は今、謂わば病気療養中に近い状態ですので、気力体力充実し元気溌剌、という訳ではとてもありません。ですから、少しでも楽な物楽な物を今は特に選びがちです。そんな中、現実感が一切ない上に殿方が一人もいないエンターテインメントというのは、ある意味でもの凄く私にとっては楽です。なにせ日常生活圏に殿方がいると心から100%寛げなくて困る、猫ですら男の子より女の子の方が絶対にいい、という位ですから。入口こそ安蘭けいでしたけれども、今となっては寧ろ凄く好きで良く見ているのは娘役さんの方だったりもしますし。

 そして、個々の誰々さんというジェンヌさんへの興味の他に、星組っていいなぁと思うようにもなりました。これは強ち安蘭けいが星組だったからという訳ではないと思います。

 星組は5組の中で多分一番私にとっては「濃い」です。諄くて胃に凭れる程濃いのが星組という気がします。熱さや勢いはどの組にもその組なりのものがあるのでしょうが、星組の熱さは熱さと言うよりは暑苦しさですし、宝塚のある一面である、端正さや粋さとは違った所に星組の拘りはあるようにも思います。そういう所が凄く、私自身の「濃いものが好き。熱い物が好き。変にスカした所のないものが好き」という好みにぴったりはまったんでしょう。

 そして、誰某、でなく集団を好きになってみて、新しい子が入ったら「頑張ってこのチームの力になってね」と温かく迎える気持ちになり、年配の人が頑張っているのを見ると「ベテランお疲れ様です。いつもありがとうございます」という気持ちになる感じ、私が全く別の所でいつも感じている事に、星組を好きだなぁと思う気持ちがとても近いものだと気付きました。星組を好きだと思って応援する気持ちって、私の中では西武ファンである、パリーグファンである気持ちととても似ているのです。

 毎回ドラフトの度に一喜一憂し、トレードの噂にハラハラし、一度チームに所属した人であれば余所のチームに行っても何となく気になり、というプロ野球ファンとしての日常は、新人が配属されればワクワクし、組替えなどの人事の噂にドキドキし、組替えで出て行った人の事は何となく余所の組に行っても気になる、という星組好きの気持ちのありかたと本当に似ています。トレードと組替えなんてまさに「上からの命令による拒否できない移動」という点がそっくりですよね。FAがない分ジェンヌさんの方がより過酷かもしれませんけれど。

 西武ファン歴は、都度熱心さの波こそあれ、殆ど年齢とイコールと言う位、飽きっぽい私にしては血肉化している属性です。それと情動が似ていることを思うと、この宝塚フィーバー、星組ブームも、案外長い事続くのかも知れません。少なくともさゆみ(紅ゆずる)がトップになるまでは><!なんて言っている位ですから、当分飽きたりはしなそうです。

 

 ちなみに、安蘭けいは別格として、好きなジェンヌさんは蒼乃夕妃、野々すみ花白羽ゆり遠野あすか月影瞳、そしてザ・娘役の白城あやか、辺りです。あ、湖月わたる!あの人もちょっと別格枠に入りつつあります。星組関係ばっかりじゃないかというツッコミが聞こえてきそうですが、「す、すみ花は違いますよっ!」と先に言い訳しておきます。水夏希霧矢大夢大空祐飛も好きですが、この辺りはかなりコンビ好きが入ってくるので個人としてどうかと言われると微妙なラインかもしれないです。あ、あと理事こと轟悠も色んな意味で別格。初めて見た時、余りのギリシャ彫刻みたいな美貌に、一条ゆかりのマンガの人かと思いました。私は一般的に定義される面食いとは割と遠い人間だと思うのですが、流石にあそこまで美形だとぐうの音もでません、完敗です。

 現役生だと、星組の人と、星組から組替えした人は気になりますが、格別この人、という贔屓はいない気がします。敢えて誰か一人、と言われたら…一応ここは星組関係者を外して、北翔海莉と言っておきます。決め手は歌が上手い所。きりやん、水のダンス、祐飛のお芝居、というように、なにか一芸ある人が好きですね。これは宝塚に限らない私の好みの傾向ですけれども。

 

 アニバーサリーイヤーの今年、気後れもはばかりもなく「宝塚好きになっちゃったので応援します」という状態に自分がなった事は、良いタイミングでラッキーだったなぁと思います。きっとまたここにも色々書くでしょうけれど、とりあえず「お正月公演は星組で幕開けでしたよ!」と誰に向けてかわかりませんが、力説してつらつら長くばかりなったエントリーを締めておきます。

 

芸名については全て敬称略で統一させて頂きました。