浸透圧

好きなものを好きと大いに言い、自分内の流行り廃りや自分自身を整理整頓したりもする、日々の徒然。

想定された中では最良の結果

婦人科の再診に行ってきました

 本日、掻爬した内膜の病理検査の結果を聞きに&今後の予定をどうするかを検討しに慶應へ行ってきました。術後の感触では体癌初期ではないかと言われていたので本人としてはその覚悟で、どの位新公もとい進行しているかが問題だよな、と子宮体癌について、理数ぱーぷりんの私にでも判るサイトの解説を見ながら思っていたのですが、幸いにも病理検査の結果はまだ癌には至っていない、「子宮内膜増殖症異型複雑型(いけいふくざつがた)」である、ということでした。少なくともこれで、転移や再発の心配をしなくても済むのだ、というのは本当にほっとした所です。

 但し、異型増殖型というのは放置すれば体癌へ変質していく物であるという認識でよいらしく、即ち子宮全摘手術が必要であると言うことに代わりはありません。その手術の日程は現在6/16を押さえてあるそうなのですが、他科(内科と精神科)との相談の結果先に伸びる可能性はあります。例のヘモグロビンA1Cの値の関係ですね。手術が出来る状態かどうか内科医の判断を仰ぐ必要があるので。場合によっては手術前に「教育入院」という、毎日のペースを整え、食事療法、運動療法などを含めて患者に危機感をきちんと持たせて値を下げる、というような入院がある可能性はありますが、現在の所食事に関しては専門食で充分効果が出ているような気もするので、その辺は先生のご判断を仰ぐ形ですね。内科(正確には内科内の腎臓・内分泌・代謝内部門らしいです)の予約は5/9で取れました。

 精神科に関しては、今かかっているメンタルクリニックの先生は、患者の状態にあった薬の選択がとても上手な方で、また、余分なことは一切仰らないしこちらに尋ねもしないので、「ええ、ええ、そうですね、わかりますよ」的な反応をされると割とカチンと来てしまうタイプの私にはとてもぴったりな先生だったのですが、認知療法やカウンセリングに関してはノータッチ、というスタンスの先生でしたので、もしも慶應の精神科に専門外来があるのであれば、摂食障害に関してはカウンセリングを交えた治療を今回とは別件で希望するということも視野に入れています。こちらの予約は5/8。今日婦人科明日神経内科と二日連続慶應通いが二週間も続いてしまう訳でいっそ定期が欲しい、というのはほっとしたから出る冗談口です。

 

本当に運が良かったです

 私は基本的に人生の細々した所では本当に間の悪い人間です。例えば私が外に出ると夕立の降りが一番酷い時間帯に当たって家に帰ると上がっていたり、この位なら傘は要らないかなと思って出ると急に強い雨に降られたり、電車に乗る時にあと少し早足で歩いていたら間に合ったかもと言う電車を一々逃したり、夜中の空いている道なのに一々赤信号に引っかかったり、3時間もある長尺の映画の途中でどうしてもトイレに行きたくなり席を立って猛ダッシュで行って返ってきたら、私的に一番の見所だったシーンをまんまと逃したり、もう数え上げたらキリがない位その手の間というか運は本当に悪いです。なので己のその辺を弁えて私はギャンブルには手を出しません。浪人時代と大学時代で散々むしられて「向いてない」というのをつくづく勉強しましたし。

 ただ、ここぞという時の、本当に人生の分岐点になりそうな大きな博打というかなにか大きな事が降りかかった時、本当に大事の時というのには、ひょっとして割と強いのかも知れません。

 例えば大学受験、一浪はしましたが、私の一生の中で多分一番遊んでいたのが浪人時代だと思います。本気で手を付け始めたのは年が明けてからという有様でも、社会の受験科目が「倫理政経」ではなく「倫理」のみで受験できる大学を選んで受験したので、覚える量は日本史や世界史に比べれば段違い、オマケに高校時代の倫理の先生の薫陶を受けてその辺はかなりがっつり頭に入っていましたし、山川の一問一答を問題と答えごと丸暗記する位なら一ヶ月で事足りる位の厚みしかない内容ですから(日本史世界史の三分の一位です)、現国に関しては元々何も問題ありませんし、英語はかなり要領良く出題者との心理戦と国語の感性で乗り切ったので、所詮日東駒専レベルとはいえそのうちの二つにはしっかり合格できました。

 ちなみに東洋大学の合格通知が郵便事故で配達が遅れたことも、後になって考えれば非常に幸運でした。先に専修の合格通知が来て入学金を既に払った後だったので、母は捨て金になってもいいから好きな方へ行けと言ってくれましたが、それは流石に勿体ないし、別にどっちでもいいや、というので私は専修大学文学部人文学科哲学・人文コースへと入学しましたが、一年のうちにもう恩師に「哲学は女がやる学問じゃないよ」と言われた意味を痛感して、コース同士の間ではかなり履修の自由が利くのをいいことに、国文系の講義ばかり履修していたので、これがもしも本当にがっつりの「東洋の哲学科」へ入っていたらさぞかし四年間しんどかったろうと思います。ちなみに今は専修大学も哲学科になっているので在籍時期もラッキーだったということになります。

 そして一限に間に合う時間に大学に着いていても、いるのは部室か暗室だった私が大学を4年で卒業できたのは奇跡というかぶっちゃけずるい、と同期にも後輩にも散々言われましたが、三年時で卒業見込みが出ない程の単位しか取っていなかった私が、4年次にはもうどの先生が好きとか何がとかすっ飛ばして、どれだけ私の出席率で単位を取れそうな科目か、という履修選択をして、卒論のテーマは大学で学んだことは殆ど関係ない趣味の域の三島由紀夫がテーマで、〆切ギリギリまでひーひー言っていた同期を横目に〆切一週間前には提出しおわって同期の校正の手伝いとかしてましたし、そりゃまあ奇跡だとかずるいだとか言われてもやむなしです。

 今回の件にしても、あの時偶々別件で婦人科を受診していなければこんな早期発見は有り得ない部位ですから、月経不順や不正出血程度には慣れっこになってしまって婦人科受診など考えもしなかった私が、ちゃんと婦人科行かないと駄目だ、という別件が発生してくれて本当にラッキーでした。

 そしてもう一つラッキーだったのは、本当に偶々だと思うのですが、慶應の中でも私の担当医は掻爬だの腹腔摘出だのが上手なので有名な先生らしく、態々その先生の診察を受ける為に患者さんが大挙する程で、だから予約枠がいつももの凄くぱつぱつで予約時間通りに行ってもまず三時間は待たされますが、手術を実際に受けてみて、後遺症というか後の治り方のすっきり具合などをみるに、腕が良いのは本当なんだろうなと思います。

 節目節目の大事に強い分、日頃のちょこちょこした間がもの凄く悪いというので相殺されているとしたら、常日頃の間の悪さにも感謝しないとですね。

 

本当に色んな形で友人達の情を感じました

 この話が出てから、私も不安定になったり多少ごたついたりと色々はありましたが、都度本当に周りの友人達が親身に心配してくれるのが心に染みました。少なくとも私は今ここで死んじゃったらこの人達の心配してくれた情を無にすることになる、という思いが、どうかすると素で「別にいつ死んでもいいけど」などと思いがちな、生きると言うことに余り前向きになれない私を本当にがっつり支えてくれました。勿論娘達を置いていく訳にも行きませんしね。

 今後は手術とそれにまつわる入退院こそあれ、少なくともそれは命に関わる何かにまではまだ至っていなかったということで、そういう心配をおかけすることなくすんだというのは、変な言い方ですが、心配してくれた周りの人の分も、良かったなって思うというのが率直な感想です。一人一人の名前を挙げてお礼はここでは言えませんが、本当に色んな方が色んな形で支えてくれました。お陰で、ちゃんと前向きに「癌」という病名と向き合って腹を括ることも出来たと思います。我が家は癌家系ですから、またいつ何時同じ覚悟を迫られるとも限りませんけれど、少なくともこれだけの人の情に生かされているのだと思えば、自然と背筋も伸びれば真摯にもなろうってもんです。

 子宮全摘ということになれば、一つ人間の躰に必要な内臓がなくなる訳ですから、それなりに余波も出ましょうけど、どうせ更年期障害を間近に控えた年齢ですし、それが少し早く来たと思ってやりすごしていけたらと思います。

 とりあえずは本当に、想定された中での最良の結果だったということをお伝えできるのが嬉しい&ほっとしました。皆様ご心配お掛けしました。今回はなんとか無事に済みそうな感じです。