浸透圧

好きなものを好きと大いに言い、自分内の流行り廃りや自分自身を整理整頓したりもする、日々の徒然。

マチェーテはメールをするようになりました

偏差値は確実に30位下がりましたw

 マチェーテ・キルズを見てきました(*^-^*)!お話にならない位馬鹿すぎてぶっ飛びのゴキゲンです。アカデミックな方や映画にアートを求める方には絶対にお薦めしません。見たら確実に偏差値が下がりますからよい子は見てはいけない映画です。

 ご存じの方はご存じのボンクラ映画監督ロバート・ロドリゲスと、音に聞こえたプロのレンタル屋店員副業映画監督のクエンティン・タランティーノが「グラインドハウス」を作ったのが、さて何年前でしたっけか。あの時に作られたインチキ予告編がよもやここまでになろうとは誰が予測…まぁある程度してましたね、判ってる人達はみんな(笑)

 ざっくり経緯を説明しておくと、グラインドハウスという言葉は英語で言う所の場末の二番館三番館、日本で言うなら名画座みたいなもんです。大分消えつつありますけれど。ボンクラ魂のソウルブラザーであるロドリゲスとアゴことタランティーノは、自分たちが見て育った、愛するグラインドハウスを俺たちの手で復活させようぜ!と、お互いに一本ずつ如何にも場末の三番館でかかるに相応しいようなそれらしい映画を作りました。そして当然そういう所では二本立てがおやくそくですから二人の作品を二本立てで上映し、間にはちゃんと三番館がやるように、次回にかかる作品の予告編までも、インチキででっち上げて作りました。インチキ予告編ですからまぁ面子も遊びたいボンクラ達ばっかりが集まって好き勝手にやってましたが、その中の一つがダニー・トレホ主演の「マチェーテ」でした。

 ダニー・トレホの経歴はウィキペディア辺りに譲りますが、兎に角あの独特の風貌とガチで堅気じゃなさそうな雰囲気は誰にも出せる物ではなく、以前ロドリゲスはキャストを考えているときに、「この役は…まぁトレホ系だな」とか適当にメモしておいて、後になって「トレホ系ってなんだよ俺!トレホ!"系"とかねーだろ、トレホ本人連れてくるしかねーよ!」という羽目に陥ったことがあるそうです。そんなボンクラ監督と、ダニー・トレホはソウルブラザーであるのみでなく、実際に従兄弟という血縁関係です。

 …というような事情で、インチキ予告編の中で「マチェーテ」だけは容易に実現可能だった訳です。ロドリゲスは音楽からエフェクトまでスタジオに籠もって一人で出来るタイプの監督で、しかも取り始めると異様に早撮りなので、周りを身内の組員で固めて、後はきれいどころを一人二人連れてくればOKってな次第ですから。

 そうして誕生したのが「マチェーテ」でした。こんなことでもなければ端役での美味しい役所位でしか日の目を見なかったであろうダニー・トレホ(日本で言うと六平直政塩見三省辺りになるかもしれません)は、一気にどかーーーんとポスター一面に彼を映し出す映画の主演になった訳です。

 

激走するトロッコにポンポン色んな人が飛び込んでスピードアップ

 その「マチェーテ」の公開時には、またしてもラストにインチキ予告編が挟まれました。それが「マチェーテ・キルズ」です。ヒーローとヒロインが格好良く合流してバイクで走り去る素敵なエンディングに、どっかのボンクラが「うむ。素敵だ。素敵すぎてパンチが足らん」などという馬鹿なことを考えたせいで、「マチェーテ・キルズ」のインチキ予告編がラストに付け加えられた訳ですね。

 今までの経緯が経緯ですから、最早こうなると事態は激走するトロッコ同然です。しかも前作マチェーテでは、暇を持て余した大物役者(しかも曲者)だの、ちょっと俳優としてB級キワキワなラインだけどA級で鳴らしたこともあるんだぜ的なギリギリかっこいい役者だのを、これでもかとつぎ込んで作ったので、基本みんなノーギャラでもやりたい現場だったと思います。馬鹿が寄り集まって極めつけの馬鹿をやってはしゃいでる映画ですから。

 そんな現場が勢いづいてしまったら「あ、俺も混ぜて」「俺も俺も」という馬鹿は際限なくロドリゲスの周りに集まってきます。元々組仕事をしてたバンデラスだとか、ちょっと声をかけてみたら意外とノリノリだったレディ・ガガ様とか、別の意味で元から馬鹿が服着て歩いてるタイプのチャーリー・シーンとか、最近ちょっとキワキワ気味に鳴りつつあったメル・ギブソンとか。そんなこんながごった煮でぶち込まれて、もーーー2は相当に酷いことになってましたよ。

 5分に一回ネタを仕込まなきゃ行けない縛りでも作ったのかっていうくらいネタネタネタのオンパレードで、正直話の筋なんかあってないようなモンですし、しかも話終わってませんからね(笑)!

 作品内にもスターウォーズネタ結構盛り込まれてましたけど、正に今回のマチェーテキルズはスターウォーズ初期三部作でいうところの2です。1が売れたんで結構お金使えるようになって特撮シーンを無駄に盛り込んだせいでちょっと話が間延びして、そうこうしてる間にハン・ソロがカーボンにされちゃってさぁ大変、待て次号!で観客ぽか~~んだったあれです、あれ。まぁSW2と違うのは増えたのは特撮シーンじゃなくてボンクラなネタシーンばっかりって言うところですけど。

 

ジェイソンは宇宙でもナタで戦った

 今回、まずのっけにインチキ予告編が出ました。それが「マチェーテキルズ・イン・スペース」。要するにジェイソン君が宇宙まで行っちゃったジェイソンXと似たようなノリです。私たちはもうこのインチキ予告群に慣れてますから、「ま~た言っちゃってるよこのボンクラはもー」くらいで劇場内も小波程度の笑いで済んでいた訳ですが、ないに等しい筋立てがネタと共にネタネタしく進んでいく内に何やら科白の中に、ロケットだの宇宙船たの宇宙だのスタ^-ウォーズだのという単語が飛び出し始めるじゃないですか。え、やだ、まさかね…と薄笑いしていた私もなんだかどんどん主に悪ふざけ方面に酷いことになっていく画面を観て、あれ?マジ?これマジで宇宙行くの?!ということになり、トドメに主要キャラがシュバーーーっとカーボン冷凍された時点で口ぽかーん、ラストにだめ押しで、「宇宙に行くんだ、マチェーテ!」以上!完!!待て次号!!!……いや、なんというか、私たちは少しロドリゲスの馬鹿さ加減を見誤っていたようです。だってぇあの人ってばアゴと違って好きな映画とか語らないし~、まさかあんなにスターウォーズネタ引っ張るって思ってなかったしぃ~、と思わずキャラ違いになってまで言い訳したい気持ちで一杯です、何故か(笑)

 え~、ここまで引っ張ったからには、絶対に撮って頂かないと困りますよ、インスペース。だって今回のあってないようなお話、終わってないんですもん!インチキ予告編をでっち上げる為に結構もうシーン撮ってるように見受けられたので、後は何人かのまたトロッコ追加メンバーを選抜してノリの良いのを釣り上げたら、是非さっさと着手して頂きたい。シンシティ2が滞っている以上ロドリゲスの指命はそれしかないといって過言ではありません(笑)

 そして当然、ジェイソン君も宇宙に言ってもナタで戦ったように、トレホも当然慣れ親しんだナタで戦って頂かないと困る訳です。まぁマチェーテってそもそもナタって意味ですから、そこは外してこないと判ってますけども。

 

ところで、感想は?

 ここに至るまで私はマチェーテキルズについて、酷いとか話の筋はあってないようなもんだとか、ボンクラだとかネタ三昧だとか、そんなことしか言ってないんですが、正直それ以外の言葉は出て来ません(笑)一個一個のネタを解説しても無意味っていうかあれは観なきゃ笑えない類のネタばっかりですし、あぁそうそう、相変わらずロドリゲスはヒロインの扱いが酷いです。デスペラードサルマ・ハエック然り、今回のジェシカ・アルバ然り。まぁこんなマチズモ溢れる馬鹿映画ばっかり撮ってる訳ですから、女はビッチか復讐のネタにしかならんわけですな。

 あぁあと、ガガたんの役が卑怯だった、というのはネタバレにならん範囲でのギリギリの感想でしょう。それから相変わらず車輪は浪漫なようですよ(笑)

 ホントにねぇ、その位しか言える事がない位、ネタのオンパレード過ぎて指さし確認しながらじゃないとどこでどのネタが発火したか、見終わった直後ですら判らなかった位ですから。あぁ、珍しく2時間近くありましたね、尺が。体感速度は90分位で「あぁ、いつもの三番館の尺に収めてきたな」って思ったんですけど、劇場出て時間みたら思ったより遅かったです。まぁあれだけネタを詰め込めばそんな位にもなるか…と一応納得。

 小中学生男子の感性のままいい大人が激走しているような、馬鹿な映画を愛する人達にはとっても愛されるラブリーな作品です。逆にそれ以外の人達はまぁ絶対観ない方が無難でしょうねぇ。

 あ、一ついい見分け方がありました。クドカンがやる馬鹿が好きな人、多分これは駄目だと思います。クドカンの笑いは間を作る笑い、三池やらアゴやらロドやらの世界に名だたるボンクラーズがやる馬鹿は間を詰めて積めて全ての隙間を埋め尽くす馬鹿ですから、同じ馬鹿でも馬鹿の種類が相当違います。ワタシちょっとバカっぽい映画好きで~、というサブカル層にはフルボッコにされること間違いない馬鹿映画です。

 ロドリゲス、愛してるわv <でも世界一かっこいいのはダニー・トレホ

 

※普通に書き始めてしまいましたが、ブログの更新が相当久しぶりです。そしてこの後もちょっと空くと思います。次回エントリーを入れる時には多分事情をお話出来る状態になっているかと