浸透圧

好きなものを好きと大いに言い、自分内の流行り廃りや自分自身を整理整頓したりもする、日々の徒然。

宝塚風?いいえ、違います

生活の99.7%はすっぴんです

 私は普段お化粧をしません。昔一時期外国製の強い鎮痛剤のせいで、吹き出物が絶えなかった時に皮膚科のお医者様に、ファンデーションを塗る化粧を禁止された事もありましたし、なにより基本が面倒くさがりなので、ちょっと外に出る位の用事ではまず化粧はしません。

 会社に行っていた時も同様で、例えば取引先との打ち合わせがあるとか、そういう時だけは辛うじて、口紅とマスカラだけはしましたが、勿論そういう時だってファンデーションはなし、すっぴんに本当に口紅とマスカラをしただけで、流石にこれをアメリカンメイクと言ったら、いかなアメリカ人にですら怒られるだろうという有様でした。

※ヨーロッパ、特にフランスの方はメイクにとても時間をかけ、丁寧に作り込まれるので、ファンデに口紅&マスカラ程度のことでも済ませてしまうアメリカ人のお化粧を、アメリカンメイクと言って割と小馬鹿にする傾向があります。というかありました。今はどうだかしりません。

 派遣で働いているような時、時期的には「自分変革キャンペーン中」的な時の自分は、会社にも化粧をして行っていましたが、自分的にはとても「きちんと」というにはほど遠かったと思います。

 何故なら、私が本当にしっかり「今日はちゃんと化粧をする」ということになると、大変に時間がかかってしまうので、朝出勤前にとてもそんなことはしていられないので、一応フルメイク、でも自分的には手抜き版、という感じでした。

 IT系のお仕事をするようになってからは、そういう所謂今で言う所の「女子力」などを会社から求められることが殆どなくなりましたし、洋服ですらTシャツ&デニムでOKになったので、すっかりその頃からはもう、気ままで楽な格好&すっぴんが基本になりました。

 ですから去年の7月にやめた現場で「ビジネスカジュアル」と言われた時、見合った手持ちの洋服がなくて結構苦労しました。

 

11/8はベルカント(声楽)のお教室の発表会でした

 歌や出来については後日別途書くとして、こういう時は流石に、0.03%に相当する「特別な日」です。ですから、がっつり時間をかけて心ゆくまま化粧をしました。尤も発表会までの間に、午後一で吹雪師匠の方のレッスン、その後月一の心療内科の予定があり、その前や合間合間を縫ってせっせと化粧に励んだ訳ですが。ですから吹雪師匠の所へ出かけた時には、辛うじてベース(ファンデの下の下地)とファンデーションと、アイラインと申し訳程度のマスカラ(しかもベースのみ)とリップグロス(本番用ではない)のみで出かけました(^^;;

 その後病院から帰ってきて改めて、ベースメイク(下地&ファンデ)を整え治し、目元も整え色を乗せ、チークを入れて、目元及び洋服とのバランスを考慮して口紅を選び、飛び飛びの時間を合わせたら恐らく3時間以上かかっていたであろう「私の言う所の、心ゆくまで塗ったフルメイク、これならきっとよろっぱの人にも怒られない筈バージョン」が出来上がりました。

 誰に見せる訳でも褒められる訳でもないですが、あの日の出来はちょっと自分でも「よし、今日はちゃんと良いバランスで塗れてるな、よしよし」という、私の中にも微かにあるオトメゴコロを満たす仕上がりでした。や、勿論会場では出演者にもそのご家族・お客様には見られる訳ですけど、個人レッスンですから年に一度、発表会でしかお会いしない方々なので、皆さん塗ってる時の私しかご存じないんですよね。

 ですから、普段すっぴんでだら~んとしてる私と、塗った時の「キリッ」という気合の入った私の両方を知っている人が見て、「おお、いつもと違う」とかは言ってくれない訳です、当然(笑)

 

母は「宝塚風を狙ったの?」と言いました

 ただ、一人例外が母で、その日のお衣装は母から借りた物だったので、会場からの帰り道にそのまま実家へ行って洋服を脱いで返して、スープの冷めない距離である自分の部屋まで帰るだけ用の簡単な着替えを借りて帰った為、ステージに立ったお衣装と化粧を観て、尚かつ普段の私も知っている唯一の目撃者となった訳です。

 その時は何も言われませんでしたが、翌日部屋まで帰るのに借りた洋服を返しに行った際、「昨日のあのメイクは宝塚風を狙ったの?」と言われました。色々説明するのが面倒だったので「あぁ、多少は似たかも。でもそれって髪型(ベリーショートで前髪に癖がある為後ろに流れているので男役さんのリーゼント風味に見えないこともない)と、口紅の色をかなりマット感の強い薄い色にしてたせいじゃない?」とだけ答えておきました。

 が、それはしかし真相の一部であって、全てではありません。母は気づいていなかったというか、彼等が大阪から帰ってきて一緒に暮らし始めてから、そこまでのがっつりメイクをそんなに観ていない筈なのでわからなかったのだと思いますが、そもそも宝塚にハマる以前から、私のメイクはどこか若干「宝塚風」にも見えなくはない化粧です。別にルボタンやダブルラインを書く訳ではなく、全く別の理由があります。

 

女の子専門ポートレイター

 私は大学四年間+卒業してからも顔パスが効いて暗室を借りられている間、かなり熱中してモノクロ写真を撮っていました。しかも、新人を勧誘する時期に、新入生だと思って貰えなかったらしく誰からも声をかけて頂けずに、やむなく自力で写真研究会(以下写研)のブースを探して、自ら進んでサークル加入しました。

 ちなみにそれまで写真をやっていたことは一度もありません。ただ、高3の時にふっと突然何の前触れもなく、「このヴィジュアルが欲しい!」という、ある女性をモデルにしたヴィジュアルが脳裏に浮かび、絵心のない私がそれをアウトプットする手段は写真しかないだろうと判断し、入学祝いに母にカメラを買って貰い(初心者が持つにはトゥーマッチなNikonF-3でした)、サークルは写真サークルに入る、と決めて入学しましたので、そうした仕儀に相成った訳です。

 ちなみに被写体は大体人間だけで(偶に静物もとりましたし、自分が欲しい画(え)を形にする方法をはっきり掴むまでは何となく風景なんかも撮っていました)、コンセプト先行でそのコンセプトにあったモデルをチョイスすることが当時は多かったように思います。後年この気持ちは変わっていく訳ですがそれは別の機会にお話しするとして、コンセプト上やむなく男性を被写体とすることも幾度かありましたが、いつでも自分では「女の子専門のポートレイターだから」と自分を形容していました。

 外撮りではなく完全に室内撮りで、まだ実家が写真撮影の出来る作りをギリギリ保っていた時期だったので、ライト、ライトクリップ、バックシートの代わりになりそうな布、衣装、小道具全て自前で、モデルを頼んだ女の子にうちに来て貰い(殆ど後輩や同期や先輩や、知り合いの範疇でお願いすることが多かったです)、写研の同期や後輩に手伝いに来て貰って(主にレフ板持ちとか、露出計りとか)、後は全て、バックシートのチョイス、ライトの当て方、衣装の選び方や着せ方、小道具の使い方、そしてモデルの化粧や髪型を造る事まで、全て私がやり、ポーズや顔の角度、表情などもこちらからある程度指示を出して撮らせて貰っていました。

 前置きが長くなりましたが、つまり私は私自身の顔と共に、人の顔を塗ることにも慣れている訳です。しかもモノクロの室内撮りで、ライトを当てること前提ですから、ちょっとした化粧品の色の違いや皮膚の乗り方など全てライトに消されてしまいます。ですから、そうした場合モデルさんの骨格と表情が全てなわけです。骨格は持って生まれた物ですから変えようがないかも知れませんが、強いライトで吹っ飛ばす事を考えると、メイクで高低差、明るい塗りと暗い塗りでメリハリを付けることによって、修正してしまうこともある程度は可能です。表情ばかりは誤魔化しが効きませんから、その人の持っている内面が全て露呈するので、ある意味服を着せていてもファインダー越しにその相手を見つめることは、対象を素っ裸にしているに等しい作業であり、そうした際、愛ある相手は大事に扱い、そうでもない相手は適当に扱って来た自覚があるので、その点で私は質の悪い女転がしをしていた、とも言えて、だからこそ今セクマイである自分が「なるべくしてなったというか、元々やっぱりそういう傾向持ちだよな」と思う次第であります。

 

ジェンヌさんのメイクもライト前提

 上記に記したように、強いライトははちょっとした色なんかは吹き飛ばしてしまいます。ですからジェンヌさんの身につけなければいけない技量の内の一つに「メイクの仕方」というのも含まれます。

 あれだけ大人数が所属していて一辺に舞台に出る訳ですから、全員にスタイリストさんなんか付けられません。ですから鬘づくり、髪飾り作り、そしてお化粧、それらは全て生徒さん達自身がしなければ行けないことで、メイクの上手下手はステージ上でお客様に良く思っていただけるかどうかにも繋がりますから、先輩の真似をし、教えて貰い、如何に自分の顔の造りを知り、欠点をカバーし長所を良く見せるメイクをするか、というのは彼女達にとってとても大切なことです。

 で、舞台では濃く塗れば色はお客様からも見えますから、色の力にもかなり頼ることになりますが、やはり顔の凹凸、骨格から出来る明暗をコントロールすることも重要であり、その点で私が「女の子の顔にライトを当てる前提でする化粧」と自ずからどこかしら理屈が似てきます。

 今現在メイクアップアーティストとして活躍中のCHIHARUさんという元男役のジェンヌさんがいらっしゃいますが、彼女の出したメイク本を一応買ってみたのですけれど、あぁ、大体宝塚のメイクを普通のメイクに落とし込むとこういう風になるよね、と私がかつてやっていた事と併せ鑑みても納得の出来る内容でしたので、目新しいことは特になかったですが、自分のやり方が間違っていなかったのだなという変な自信には繋がりました(笑)

 ですので、自分で自分の顔を造る時も、まして発表会はライト前提ですから、やっぱり明暗で凹凸を造るメイクの仕方になります。母が宝塚風を狙ったの?と言ったのは、恐らくその辺りが原因なのではと思います。以前にメタルバンドのヴォーカリストをしていた時もやはりライト前提の作り込みでしたから、そうした癖が自分を塗る時にもやはり抜けない所もありまして。

 という訳で、特に宝塚風を狙った訳でもないけれど、結果似たような部分は生じたメイクと相成った次第であります。

 ちなみに元ジェンヌさんがヅカメイクの仕方をYouTubeにUPしているので、ご興味のある方は見てみて下さい。あそこまでがっつり塗る機会は流石に舞台メイクではないので私にはありませんでしたから、知っていたこともありますが、おお、そんな技があったのか、という興味深い所も沢山あり、まぁ今後室内撮影をする機会が生じるかどうかは判らないですが、いつか来るかも知れないその時には、その技術が生きるかもしれません(笑)

 


【宝塚メイク】元・宝塚 彩羽真矢がスッピンからヅカメイクをします①【男役】 - YouTube


【宝塚メイク】元・宝塚 彩羽真矢がスッピンからヅカメイクをします②【男役】 - YouTube


【宝塚メイク】元・宝塚 彩羽真矢がスッピンからヅカメイクをします③【男役】 - YouTube


【宝塚メイク】元・宝塚 彩羽真矢がスッピンからヅカメイクをします④【男役】 - YouTube