浸透圧

好きなものを好きと大いに言い、自分内の流行り廃りや自分自身を整理整頓したりもする、日々の徒然。

にわかファンの出来るまで

数ヶ月時には数年単位で

 凄く好きなものが出来ては過ぎていく、大変に飽きっぽく、広く浅い私ですが、ブーム渦中の集中力はちょっと流石に普通とは言い難いなと自分でも思います。只今現在のブームは宝塚(主に星組)な訳ですが、一番近いそれを例にとって、一体自分がどんな馬鹿げた集中力を発揮しているのか改めて振り返ってみようかと。

 

「ちえねね」は「柚希礼音さんと夢咲ねねさん」

 ここにも書いたことがありますが、きっかけはニコ動の「百合界のカリスマ」タグでした。それで引っかかったのが「ちえねね」です。この時点で私の宝塚の知識はほぼ皆無「確か何組とか幾つかにわかれてて、偶にJRの駅にポスターが張ってあって厚化粧、セットになんか大きい階段があったのはみたことある」程度のものでした。WOWOWに入っていた時期があるので、その時に偶に番宣を目にしたことがあったので大階段を見たことがあったんですよね。後は大地真央さんと黒木瞳さんが「コンビ的な何か」だったという位の知識でした。

 ですので「ちえねね」ってまずなに?です。幸いニコ動でしたから、コメントからそれがそれぞれの人の名前だ、ということは判りました。おお、このイケメンがちえさんで、カワイコちゃんがねねちゃんか、という所までは動画の時点で判断できます。後は「判らないことはとりありずググれ」の習慣で「ちえねね」でググった所、宝塚には愛称呼びという通例があり、ちえさんとねねさんはそれぞれが愛称であること、ちえさんは柚希礼音さんでねねさんは夢咲ねねさんであること、そしてその二人は星組のトップコンビである、という所まではすぐに理解しました。そして各組にそれぞれのトップコンビというのがいて、同じトップコンビでも男役さんが「トップ」と呼ばれることが殆どであり、娘役さんは「娘役トップ」「娘1(娘役一番手という意味)」と呼ばれることが多いということも、そして一度トップになったコンビはどちらかが退団するまでは基本変更はなし、毎回そのコンビが主演で公演が打たれるらしいというのも徐々に判っていきました。

 幸い宝塚にはディープなファンの方がブログやらtwitterやらで色々書かれているので、あることについて調べる、というのは難しくないのですが、宝塚を追いかけていて一番判り難いのが芸名と愛称との入り交じった呼び方で、どれが誰、というのが判らないとまず、探し当てた情報が誰のことなのかというのがわかりません。逆にそこを乗り越えると大体のことはググれば出てくるレベルになります。

 

「路線」を理解するまで

 次の難関は「番手」の感覚です。各組にはトップコンビがいる訳で、その下にいる組の人達は「組子(くみこ)」と言われますが、主に男役さんには男役二番手男役三番手位までの序列が比較的明確にされています。この「何番手」という、謂わば次代を期待されるようなエリートの人達のことを「路線」といいます。娘役さん達にもぼんやりはあるようですが、男役さんのそれほど明確ではない気がします。ただ厳然とあることはあるんだろうなというのは見ていて感じます。ただし、路線に乗れれば確実にトップになれるというものではありません。ある時期まで期待されていた人が路線から外されることもあれば、逆に路線として期待されていたのに辞めてしまう方もいらっしゃいますし、なにしろ400人からいる宝塚の中で5組10人、その中で男役は5人しかトップになれない訳ですから、劇団の事情なども含めると、トップになるというのはなかなかの難関ですよね。だからでしょうか、ご自分の好きなジェンヌさんが路線か路線でないかというお話は割合見かける気がします。

 そういえば、宝塚のファンの方は自分のご贔屓のジェンヌさんを必ず「贔屓」と仰るような気がしますね。「自分の贔屓は路線じゃないから」などの言い方をよく見かけます。そして、劇団非公認かつ黙認でファンクラブ的なものが隠然と存在しています。そのFC的なものは誰々会とかその人にちなんだ愛称とかで呼ばれていますが、入り方の手続きも普通の人は知りませんし公にもされていません。そして会の掛け持ちは許されないそうです。遠巻きにファンをやる程度なら兎も角、「贔屓を持つ」というのはどうやら中々凄いことのようです。

 ちなみに私は安蘭けいさんから入りましたが好きになった時には既に退団されていましたし、誰のファンというのも今はなく、単なる星組ファンですし、誰の会とか宝塚友の会とかにも入っていません。今でももの凄く好きな人はみな退団している人達、ある意味物語が完結している人達だから、安心して好きでいられるのかもしれませんね。

 何かを好きになる時にその人個人の技量は勿論ですが、物語性に私は多分凄く弱くて、そういうものが付随している人達を殊に好きなりがちな気がします。その点宝塚の場合現役の方だとハラハラドキドキが多すぎて安心してただ「萌えー」とか言っていられないんでしょうね。星組次期トップがさゆみでなかったらかなりショックを受けると思いますよ、私。みっさまが落下傘っていうならまだ多少は納得しますけど。はい、今『星組次期トップ…云々…納得しますけど』までの間に既に普通の方にはかなり意味不明の言葉が幾つか入りましたね。さゆみとみっさまは人の名前として、落下傘とはなんぞや、そして人事に関してファンが何を色々考えることがあるのだ、というのは、長くなるので割愛しますが、よろっぱのサッカーファンがシーズンオフの移籍の話に胃を痛めるように、プロ野球ファンがドラフトやトレードの噂に一喜一憂するように、そうしたことが宝塚にもあるのです。

 

去年の9月半ばに安蘭けいさんを知ってから

 ある程度、もしくはそれ以上の情報まで何しろ目の前の便利な箱(PC)で大体知ることが出来るので、動画も散々見ましたし、実際観劇した人の感想とか、あるジェンヌさんのファンのブログとかこれまた散々読みました。ですので、興味を持った範囲の人達のことには結構今は詳しい気がします。でもそれって実際に見て自分が体感したことではありませんから、血肉化しているものとも言い難いですし、だから何事につけ後追いしたものに関しては所詮のにわかファンな訳です。飽きっぽく、広く浅くの人間と自己紹介するのはその辺の自覚があるからですけど、瞬発力を発揮している最中ですと、一見オタクのように見えます。だからといって星組カルトクイズとか出されたらとても付いていけるレベルじゃないですけど。

 一見オタクに見えなくもない程にまでなってしまうというのは多分、興味を持った対象に関して調べる範囲が広いからなんだろうなと思います。例えば、サッカースペインリーグが大好きだった時、各チームのチームカラーとか、何処のチームと何処のチームが宿命のライバルとか言われているとそれが何故なんだろうとか、そういうことが色々気になって、思わずスペインの歴史の本まで読み漁ってましたから。

 宝塚に関しては、宝塚スカイステージという宝塚の情報や過去の公演、現在のニュースなど兎に角宝塚まみれ宝塚のことでのみ成り立っている有料チャンネルを、昨年末についに契約しました。流石にUPされている切れ切れ動画だけでは欲しい情報が足りなすぎたり、この公演の、DVDに収録されているバージョンではなく千秋楽が見たい!とかそういうマニアックな欲が色々湧いてきて、好きになり始めてそのチャンネルの存在を知った時から、入るのは時間の問題だろうなとは思っていましたが、己の予想より陥落は遙かに早かったです。

 

「見るべき程のことは見つ」と思うと

 さっと興味が薄れる訳ですが、見るべき程のことを見切ってしまうまで、自分が「もう充分に見た」と思うまではやっぱりかなりしつこく追いかけます。過去に熱を上げて下がってしまった物の代表としてスペインサッカーがありますが、あれはラウール・ゴンサーレスという人のファンをやっていたせいで、彼がスペインのチームを離れてしまったことと、それと頃を前後して日本での放映権がJ-SPORTSという、私がスペインリーグを好きになるきっかけになった実況アナウンサーのいる局から、WOWOWに移ってしまって、実況が明らかにつまらなくなったことがダブルできて、自分でも驚く位すーっと波が引いていきました。

 もう一つ引いた大きな波といえば格闘技ですね。これも複合要因なのですが、ボクシングに関しては私にしょっちゅう後楽園ホールのチケットを回してくれていた某ジムのマネージャーが結婚退職してホールに行く機会が激減したことと、リカルド・ロペスの引退が大きな理由です。極真空手に関しては、大山総裁がなくなった後のゴタゴタで、私はずっと松井館長を支持していましたが、やはり分裂で日本勢の力が落ち、世界一を海外に譲ってから辺りから見ていられなくて見なくなっちゃいました。ずっと続けていた支援会員制度も数年前にやめていますし。自分の中でのピークはやっぱり数見肇さんだったのかなと思います。勿論木山仁さんも大好きでしたけど、数見さんが去り、盧山師範が去った時点で、何か終わってしまいました。極真に関しては本当に残念でなりません。あの分裂さえなければ…という気持ちが今でもやっぱりありますし、なにより盧山師範が、松井館長から離れたというのが、盧山師範に対しても松井館長に対しても、絶大だった信頼が揺らぐ大きな事でしたので、今でも胸が痛みます。 だから今現在の彼等に興味がなくなったというだけのことなので、昔の映像は今でも良く見ますね。成嶋さんの上段からの下突きとか、数見さんの内股とか、いつ見ても芸術ですもん。

 

 宝塚に関してはなにしろ今年が100周年という記念の年ですし、100年分の色々の積み重ねがあるものですから、容易に「もうなんか色々全部見切ったな」と思うまでに至るにはまだ相当かかると思います。それまでは日々の宝塚ニュースに星組関係のニュースが流れることを楽しみに思う毎日を送ることと思います。